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IPO準備/上場会社でひと工夫Part.22-リテラシー教育④-

  • 執筆者の写真: 長嶋 邦英
    長嶋 邦英
  • 2月22日
  • 読了時間: 6分

更新日:2月22日

 IPO準備会社と上場会社。それぞれ立場は違いますが、意外にもその悩みどころや解決策に共通点があります。ここではその " ひと工夫 " をご紹介します。

 今回も「リテラシー教育」のひと工夫を取り上げます。





会社の不祥事の大きな原因はリテラシー教育不足②

 前回の記事「IPO準備/上場会社でひと工夫Part.21-リテラシー教育③-」の続きとなります。このリテラシー教育については、社内教育(社内研修)の枠では説明しきれない、上場会社・IPO準備会社にとってはとても重要な事柄です。強いて言えば、会社にリテラシーの基盤が無ければ、上場することや上場維持することは難しいと考えます。その事例として、前回の記事では直近のTDnet(適時開示情報閲覧サービス)に公表された某社の不適切な会計処理事案をご紹介しました。今回の記事でもこの不適切な会計処理事案の調査報告書を用いて、リテラシー教育について皆さんと一緒に考えてみたいと思います。


 不祥事事案の形は様々ありますが、ごく一部の部門・従業員等による限定的なものというよりは、組織/会社ぐるみで関わっていることの方が多いと感じます。それに、単なる会社の規程等の遵守違反というよりは、規程を超える大きな圧力によって規程を無視した形の不祥事が多いようです。先にご紹介した某社の不適切な会計処理事案はその典型的な例です。その会社の調査報告書の「原因」に「売上・利益成長至上主義の目標設定、過度なプレッシャーの存在」と記されています。さきほど「規程を超える大きな圧力」と言いましたが、それはこの某社では「過度なプレッシャーの存在」です。内部統制でよく勘違いされることは、「内部統制の目的は?」と質問すると、あの4つの目的(①業務の有効性及び効率性、②報告の信頼性、③事業活動に関わる法令等の遵守、④資産の保全)を答えると思います。続けて「その4つの目的を達成するのは誰ですか?」と質問すると、多くの方は「会社」と答えると思います。J-SOX本来の意味から見ると、4つの目的を達成するのは「会社」という回答では不十分です。なぜならJ-SOX「1.内部統制の定義」(9ページ)に以下のように示しているからです。

 内部統制の目的を達成するため、経営者は、内部統制の基本的要素が組み込まれたプロセスを整備し、そのプロセスを適切に運用していく必要がある。それぞれの目的を達成するには、全ての基本的要素が有効に機能していることが必要であり、それぞれの基本的要素は、内部統制の目的の全てに必要になるという関係にある。

 このように、4つの目的を達成するのは「経営者」です。そしてその経営者は4つの目的を達成するためにプロセスの整備と運用を実施し、有効に機能しているのかを管理する責任があります。しかし、会社の運営は経営者だけでは成り立ちません。そのため、事業運営の一環として社内の業務に携わるすべての従業員等への教育が必要となります。全社統制(CLC)に社内教育に関する統制項目があるのも、そのが理由です。

 また、J-SOX「3.内部統制の限界」(15ページ)では次のように示しています。

3.内部統制の限界  内部統制は、次のような固有の限界を有するため、その目的の達成にとって絶対的なものではないが、各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものである。 (1) 内部統制は、判断の誤り、不注意、複数の担当者による共謀によって有効に機能しなくなる場合がある。 (2) 内部統制は、当初想定していなかった組織内外の環境の変化や非定型的な取引等には、必ずしも対応しない場合がある。 (3) 内部統制の整備及び運用に際しては、費用と便益との比較衡量が求められる。 (4) 経営者が不当な目的の為に内部統制を無視又は無効ならしめることがある。

 内部統制は「これをすれば良い」というルールが存在するわけではありません。そのルールは「経営者」がプロセスの整備と運用を実施する責任があります。先にご紹介した某社の不適切な会計処理事案は、経営者自身が内部統制を無視又は無効ならしめてしまった典型例となります。



誰に対してリテラシー教育を行うか

 前回の記事で、不祥事が発生しにくい、不祥事を起こさせない、曖昧さが蔓延っていない社内の雰囲気・社風を作り上げることと、リテラシー教育を単なる知識を学ぶ場ではなく、学んだ知識を業務の現場において実践で使いこなし、業務経験を積んでもらうことを目的とすることをお勧めしました。しかしながら、いま一番リテラシー教育が必要なのは、従業員等の皆さんではなく、経営者の皆さんかもしれません。なぜなら、某社の不適切な会計処理事案の原因は「売上・利益成長至上主義の目標設定、過度なプレッシャーの存在」とあるように、目標(事業計画)設定することも指示を役員・従業員等に対して行うことも、すべて経営者の責任だからです。だからと言って、売上・利益成長至上主義の目標を設定したり、過度なプレッシャーを役員・従業員等に加えるのは、内部統制を無視又は無効ならしめる要因になりますが、これらが不祥事の直接的原因であるとは言いません。ですが、どのようなことが内部統制を無視又は無効ならしめる要因となりうるのかを学ぶ必要があるのではないでしょうか。その学びとして、経営者の皆さんはぜひリテラシー教育を受けることをお勧めします。

 私はこれまで2回経営者向けリテラシー教育の講師として立たせていただきましたが、世間的に経営者向けリテラシー教育が少ないように思います。また、リテラシー教育は一度受講したから大丈夫というものではありません。各種のリテラシーは社会状況等によって変化します。代表例はハラスメントや情報セキュリティです。また、リテラシーは法改正があれば変化します。そして、とても厄介なのは、リテラシーは会社の規模、成長度合い、会社の社会的・業界的な位置など、会社が成長していくのと並行して変化しますので、経営者は会社/社会全体を理解する、先読みしてそれに見合うリテラシーを身に付ける必要があると思います。不祥事はいつ皆さんの会社で発生するかわかりません。皆さんの会社で不祥事が発生しにくい、不祥事を起こさせない、曖昧さが蔓延っていない社内の雰囲気・社風を作り上げるためにも、ぜひリテラシー教育を実施することをお勧めします。


 リテラシー教育の実施と社内環境を整えることによって、経営者を含むすべての従業員等の間で相乗効果が生まれ、社風の浄化が期待できると考えます。ぜひこの機会に社内教育を見直して、会社も従業員も一緒に成長できる社内環境を作ることをお勧めします。





当社が提供するサービスとして


当社が提供する「Corporate(管理系)部門 業務支援」サービスでは、


  1. IPO準備中企業のCorporate部門の業務内容の確立をサポート支援いたします。

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 この機会に、ぜひCorporate部門のあり方、必要性をご理解いただき、Corporate部門の業務体制構築/再構築、業務支援をご検討ください。



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