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内部監査の在り方Part. 14 -性悪説と性善説②-

  • 執筆者の写真: 長嶋 邦英
    長嶋 邦英
  • 8月24日
  • 読了時間: 5分

 前回に続き今回も少々趣が変わるのですが、私たちが内部監査に携わるにあたっての考え方について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。




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性悪説と性善説②

 前回の記事「内部監査の在り方Part. 13 -性悪説と性善説-」と同様、今回の記事でも性悪説と性善説を次のような意味で取り上げます。

  • 性悪説:人間の本性は悪であり、たゆみない努力・修養によって善の状態に達することができるとする説。荀子が唱えた説。

  • 性善説:人間にはもともと善の端緒がそなわっており、それを発展させれば徳性にまで達することができるとする説。孟子が唱えた説。

(出典:デジタル大辞泉・小学館)


1.内部監査の必要  組織体が、その経営目標を効果的に達成し、かつ存続するためには、ガバナンス・プロセス、リスク・マネジメントおよびコントロールを確立し、選択した方針に沿って、これらを効率的に推進し、組織体に所属する人々の規律保持と士気の高揚を促すとともに、社会的な信頼性を確保することが望まれる。内部監査は、ガバナンス・プロセス、リスク・マネジメントおよびコントロールの妥当性と有効性とを評価し、改善に貢献する。経営環境の変化に迅速に適応するように、必要に応じて、組織体の発展にとって最も有効な改善策を助言・勧告するとともに、その実現を支援する。

 前回の記事では「もし性悪説の見方で内部監査を行うと保証業務としては満点ですが、助言業務に話が及ぶかどうかは難しいと思います。一方、性善説の見方で内部監査を行うと、保証業務と助言業務それぞれをバランスよく行うことができるのではないかと考えております。」とご紹介しましたが、これは性悪説の見方で内部監査を行うことをお勧めしないというものではありません。会社のガバナンス・プロセス、リスク・マネジメントおよびコントロールの妥当性と有効性とを評価するうえでは、性悪説の見方によって会社の「芳しくない」(=悪)状態から善の状態に達するための内部監査を実施する必要はありますし、「善への底上げ」のためにも性悪説の見方で内部監査を行うことは必要です。ただし、性悪説の見方だけですと芳しくない状態を探すことに明け暮れてしまい、会社の「善の端緒」を発展させるタイミングを逃してしまいます。このタイミングを逃すことは、企業価値を向上する機会を損失していることだと考えます。

 誤解を恐れずに言うと、性悪説の見方で内部監査を行うことはいつでもできますが、性善説の見方で内部監査を行うことは会社の経営環境の変化を敏感に感じ迅速に準備して実施しなければなりません。内部監査は「機を見るに敏なり」の仕事です。内部監査を準備・実施する際は性悪説と性善説の見方のどちらか一方に偏ることなく、保証(アシュアランス)業務と助言(アドバイザリー)業務がバランスよく行うことができる姿勢を整えておくことをお勧めします。



「機を見て敏」の内部監査へ

 実際に「機を見て敏」の内部監査となるにはどのようにすれば良いでしょうか。これは以前の記事「内部監査の在り方 Part. 03 - 内部監査年間計画 -」、「Part. 12 -内部監査計画②-」でも触れましたが、内部監査の計画・準備・実施については会社の事業計画の内容と進捗具合に関する情報収集が大切だと考えます。


 事業計画は、会社が今期どのような姿(業績、規模等)になるかを想定し、それを目標として実現するための計画です。想定の段階では自社のはもとより社外・社会の情勢・統計等も考慮しています。そうすると私たち内部監査は、その考慮した内容を踏まえて内部監査を計画し準備して実施する必要があると考えます。また、事業計画は期初に設定しているものですから、期中〜期末にかけて順調に進むこともあれば修正を余儀なくされることもあります。そうすると私たち内部監査は、なぜ順調に進んできるのか、なぜ計画の修正を余儀なくされるような事態となったのか。それらの情報を収集し、その情報を踏まえて内部監査を計画し準備して実施する必要があると考えます。しかしながら、私たち内部監査には会社の事業計画をじっくりと把握し、社内外の情報をゆっくり収集している時間はあまりありません。なぜならは、機を逃すからです。ですから、もし事業計画が修正される場合は内部監査計画も修正する必要がありますし、内部監査の準備を行っている際に他で突発的な事象が発生したら準備の内容も修正することもあります。これらを柔軟・適切・的確に対応することが必要であり、これが「機を見て敏」の内部監査です。


 内部監査の仕事は保証業務と助言業務です。保証業務は会社を守ることであり、助言業務は企業価値の向上を支援するものです。これらの業務に決まった方法や最高・最良の方法はありません。それらは会社の規模や状況等によってさまざまです。その上で「機を見て敏」です。そうなると私たち内部監査は監査の方法論を数多く習得し、いざという時にその監査の方法の選択肢として持っていなければならないかもしれません。私自身も内部監査の学びに終わりが無いなぁと感じつつ、皆さんと一緒に学べたら幸いです。






当社が提供するサービスとして


当社が提供する「内部統制・内部監査体制構築」サービスでは、


  1. IPO準備中企業の内部監査体制の構築とその業務内容の確立をサポート支援いたします。

  2. 上場企業の内部監査体制の再構築、業務内容の改善をサポート支援いたします。

  3. IPO準備中・上場企業の内部監査業務の業務委託受託先(外部)として業務遂行いたします。(*内部監査責任者として、社内に1名選任をお願いします。)


 この機会に、ぜひ内部監査のあり方、必要性をご理解いただき、内部監査体制構築/再構築をご検討ください。



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