内部統制に向き合うPart.17-指摘・改善事項への対応-
- 長嶋 邦英

- 1 日前
- 読了時間: 6分
2023年04月内部統制報告制度(J-SOX2023改訂版)が15年ぶりに改訂されて内部統制が様変わりし、皆さんの会社では豊富な知識と蓄積された経験をもとに日々内部統制を進化させていることと思います。その知識と経験をいったん振り返って整理し、さらに実践に役立つ戦略・戦術として活かすことを考えてみたいと思います。
今回は、指摘・改善事項への対応についてです。

【参考となる書籍・資料】
・財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(企業会計審議会・金融庁)※
・財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(企業会計審議会・金融庁)
・今から始める・見直す 内部統制の仕組みと実務がわかる本(浅野雅文著・中央経済社)
・監査・保証実務委員会報告第82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」(日本公認会計士協会)
(※監査基準と実施基準は、以下総じて「J-SOX」といいます)
指摘・改善事項の捉え方①
これまでの記事でJ-SOXの各統制や内部統制基本方針(「内部統制に向き合う Part.16-内部統制基本方針-」をご参照ください)について、皆さんと一緒に考えてみました。これらは、まず先にJ-SOX全体・大枠を捉えたうえで実践に役立つ戦略・戦術を皆さんと一緒に考えてみたかったという考えです。今後は、もう少し具体的な個別のものについて取り上げてみたいと思っております。
今回は指摘・改善事項の捉え方と対応について取り上げます。
先日適時開示情報閲覧サービス(TDnet)を見ていたところ、某社の「改善計画・状況報告書の開示再延期」に関するリリースを拝見しました。開示再延期の理由として、その某社は「より深度の高い原因分析及び再発防止策の検討に時間を要する」ことを挙げております。「ご苦労されているのんだなぁ」と率直に感じたのと同時に、どのような改善・再発防止策が発表されるのかと楽しみにしております。ただ、「より深度の高い」というそのお考え・方針には賛成なのですが、某社がいま検討している「より深度の高い原因分析及び再発防止策」とは、改善・再発防止策の最終的なゴールなのか、それとも段階的な工程を踏まえてのマイルストーンなのか。このあたりが今後公表されるのかなぁと期待しております。
ただし、内部統制に「これで完璧」はありません。一度定めたルールは日ごとに陳腐化することを踏まえて、定期的に確認・見直し・改善するためのPDCA活動を会社全体で実施することが前提です。これが内部統制だと考えます。
1.内部統制の定義 内部統制とは、基本的に、業務の有効性及び効率性、報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守並びに資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング(監視活動)及びIT(情報技術)への対応の6つの基本的要素から構成される。 (中略) 内部統制の目的を達成するため、経営者は、内部統制の基本的要素が組み込まれたプロセスを整備し、そのプロセスを適切に運用していく必要がある。それぞれの目的を達成するには、全ての基本的要素が有効に機能していることが必要であり、それぞれの基本的要素は、内部統制の目的の全てに必要になるという関係にある。 内部統制は、社内規程等に示されることにより具体化されて、組織内の全ての者がそれぞれの立場で理解し遂行することになる。また、内部統制の整備及び運用状況は、適切に記録及び保存される必要がある。 なお、具体的に内部統制をどのように整備し、運用するかについては、個々の組織が置かれた環境や事業の特性等によって異なるものであり、一律に示すことはできないが、経営者をはじめとする組織内の全ての者が、ここに示した内部統制の機能と役割を効果的に達成し得るよう工夫していくべきものである。
(引用:J-SOX09ページ・Ⅰ.内部統制の基本的枠組み)
上の引用の最後の段落に「経営者をはじめとする組織内の全ての者が、ここに示した内部統制の機能と役割を効果的に達成し得るよう工夫していくべきものである。」とありますが、「工夫していく」はその会社の内部統制体制の完成に向けての道程(みちしるべ)を示すことが求められていると考えます。そして、その「工夫していく」の中に、今回のテーマである指摘・改善事項の捉え方と対応について示す必要があると考えます。
指摘・改善事項の捉え方②
指摘・改善事項は、私たち内部統制評価者が検出した指摘・改善事項だけではありません。会計監査人である監査法人が検出した指摘・改善事項も重要であり、会社はこれらすべての指摘・改善事項に対して取り組まなければなりません。同じ会社の財務諸表等から、監査法人の先生方がどのような指摘・改善事項を挙げるのか。自分たちのそれと同じなのか。違うものなのか。違っている場合、それはどのような観点、理由等なのか。これは私たち内部統制評価者としては、一番良い・大切なものとして学ぶことができるものです。その中には他の事項の対応の際に応用できるヒントもあります。監査法人の先生方は私たちに答えを教えてくれるわけではありません。また、正解もありません。指摘・改善事項への対応は皆さんの会社が考え、工夫して整備し運用し改善するものです。ですから私たち内部統制評価者による指摘・改善事項の捉え方としては、指摘・改善事項をどのように認識・把握し、会社の経営方針に基づいてどのように改善するのかという観点で見ていくことをお勧めします。
先ほど内部統制はPDCA活動を会社全体で実施することとご紹介しましたが、単にPDCA活動を一回転すればよいというものではありません。PDCA活動を実施し続け、実施するたびに向上する " らせん状 " のようなかたちとなることが必要です。その向上する先は、経営方針が見定めているゴールと同一です。内部統制基本方針と経営方針が並行したり、まったく別の方向に向かっているのは芳しくありません。企業価値の向上は上場会社の最優先事項です。その会社の企業価値の向上のための方向性は経営方針に示され、これに資するかたちで内部統制基本方針が定められます。逆に、しっかりとした内部統制基本方針が定められているからこそ経営方針の実現性が高められ、企業価値の向上が達成できると考えることができます。経営者の皆さんとしては、PDCA活動を会社全体で実施することを「人任せ」にせず、常には難しいかもしれませんが、ぜひ定期的に会社の内部統制の実施状況を確認することをお勧めします。
今回は指摘・改善事項について、まずは捉え方の入り口部分を皆さんと一緒に考えてみました。この入り口部分が少しでも違っていると、指摘・改善事項への対応の検討、実施、それらの過程と結果が大きく変わります。どのような結果が出るにしてもそれらに正解はありませんが、その結果を評価するのはステークホルダー(株主、顧客様、取引先様、従業員等)です。皆さんの会社でも、指摘・改善事項への対応について見直し等することをお勧めします。
当社が提供するサービスとして
当社が提供する「内部統制・内部監査体制構築」サービスでは、
IPO準備中企業の内部統制体制の構築とその業務内容の確立をサポート支援いたします。
上場企業の内部統制体制の再構築、業務内容の改善をサポート支援いたします。
IPO準備中・上場企業の内部統制にかかる業務の業務委託受託先(外部)として業務遂行いたします。(*内部統制責任者として、社内に1名選任をお願いします。)
この機会に、ぜひ内部統制のあり方、必要性をご理解いただき、内部統制の体制構築/再構築をご検討ください。



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