内部統制に向き合う Part.15-全社統制②-
- 長嶋 邦英

- 6 日前
- 読了時間: 7分
2023年04月内部統制報告制度(J-SOX2023改訂版)が15年ぶりに改訂されて内部統制が様変わりし、皆さんの会社では豊富な知識と蓄積された経験をもとに日々内部統制を進化させていることと思います。その知識と経験をいったん振り返って整理し、さらに実践に役立つ戦略・戦術として活かすことを考えてみたいと思います。
今回も全社統制(以下「CLC」といいます)です。

【参考となる書籍・資料】
・財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(企業会計審議会・金融庁)
・財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(企業会計審議会・金融庁)
・今から始める・見直す 内部統制の仕組みと実務がわかる本(浅野雅文著・中央経済社)
・監査・保証実務委員会報告第82号「財務報告に係る内部統制の監査に関する実務上の取扱い」(日本公認会計士協会)
【お詫びと訂正】
前回の記事「内部統制に向き合う Part.14-全社統制-」において、「この42項目の例は、J-SOXの実施基準「参考1」(88-90ページ)にあります。」とご紹介しましたが、ページ数に誤りがありました。正しくは「96-98ページ」です。ここにお詫び申し上げますとともに訂正いたします。
CLC「42項目」の捉え方
前回の記事「内部統制に向き合う Part.14-全社統制-」では、CLCはガバナンス、コンプライアンス、リスクそれぞれの観点から、会社全体における内部統制の体制や仕組みの整備・運用状況を総合的に評価するものであることをご紹介しました。内部統制評価の手法(各プロセスの評価の順番等)についても触れましたが、こちらは皆さんの会社の内容・状況等を踏まえて評価の順番等が違いますので、CLCの捉え方、考え方について十分な検討を行い、そのうえで他の統制含めて評価の順を決める必要があるとお勧めします。
さて、内部統制評価の手法について、特にCLCは前回の記事で「42項目」について触れました。この点についてはJ-SOXの実施基準に「財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の例」(96-98ページ)にその42項目がありますので、ご参照ください。・・・と、皆さんは監査法人、主幹事証券会社、IPOコンサルティング会社等から教えていただいていると思います。皆さんはこのことを不思議に思いませんか?例えば、全項目を総合的にみると会社全体を網羅的に捉えて評価するのだと理解できるのですが、皆さんの会社の業種・事業規模・現在の状況等を踏まえてもう一度この42項目を分析してみてください。おそらく42項目ひとつひとつに評価の濃淡(積極的に構築して評価すべき項目、他者と同等程度に構築して客観的に評価する項目、など)を付ける必要があると思います。つまり、42項目はあくまで内部統制への取り組み方・考え方・評価の仕方の例示として存在しているもので、個々の会社の状況等を踏まえて実際に会社に合ったCLCの統制項目を考えるのは、個々の会社によってその濃淡があり、その見極めは個々の会社の責任であるということだと理解しております。よく見かけるケースとして、内部統制構築を、評価結果で「開示すべき重要な不備」にならない程度に構築しておく必要のある統制項目であると『勘違い』されているケースがあります。そのような考えでも、その会社によっては大丈夫かもしれません。ただし、J-SOXは会社のガバナンスとリスク管理についてPDCAを繰り返し回すことで会社の内部統制体制の構築及び品質と効率を継続的に向上させることを考えているものです。一度構築したものを未来永劫そのままの形で維持していくことを考えておりません。ですから、「会社の内部統制体制を、開示すべき重要な不備にならない程度に構築し維持していく」という考えの会社は、そのまま「上場」を維持していくことはかなり難しいと思います。前回の記事で、「各社のCLCを見ればその会社の内部統制に対する捉え方、考え方、姿勢などさまざまなことがわかり、ある意味CLCはその会社の看板と言っても過言ではない」とご紹介しましたが、まさにこの42項目の捉え方こそがその会社の内部統制に対する捉え方、考え方、姿勢などが如実に表れるものです。
それでは、この42項目をどのように捉えたら良いのかを、次の項で皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
CLCのポイントは「42項目の濃淡」
結論から言いますと、CLCのポイントは42項目の濃淡です。この濃淡とは、例えば42項目を皆さんの会社の業種や現在の状況に合わせて細分化したり、会社のリスク管理上極めて重要な項目をPick upして詳細に評価したりするものです。この具体例を挙げるとキリがありませんし、個々の会社によっていろいろな例があると思いますので、皆さんの会社でその方法等を十分検討してみてください。
皆さんの会社に合わせて42項目の濃淡を検討する際には、リスク管理委員会等で特定・分析・評価した会社のリスクに関する資料が必要です。(参考:以前の記事「IPO準備/上場会社でひと工夫 Part.03 -J-SOXはリスク・コントロールがカギ-」)会社のリスクを把握し理解することで、42項目のうちどの項目に重点を置くのか、その重点を置くと決めた項目をPick upして別の評価シート(チェックリスト)を作成して詳細に評価するのか、又は42項目全体で個々の項目ごとに評価の切り口を会社の業種や現在の状況に合わせて細分化して評価するのか。このような検討をすることができます。できれば毎期、少なくとも3期ごとに実施することをお勧めします。よくあるケースとしては、M&Aによって連結子会社が増える際にこのことを検討するケースです。その連結子会社は目的(親会社や連結子会社間での経営/事業上の相乗効果を狙ったもの等)があって連結に組み込まれていると思いますが、そのうえで親会社にとってはリスクが増えるでしょう。CLCの評価の際にその連結子会社分のチェックリストを増やしただけでは、会社の内部統制の品質と効率を継続的に向上させているという説明はできません。親会社のCLCチェックリストの見直しも必要になるハズです。皆さんの会社でこのようなケースがタイミングよく頻繁にあるわけではありません。そのようなことが無いタイミングにおいても会社は成長していますので、その成長度合いによって会社の内部統制の品質と効率を継続的に向上させる必要はありますし、J-SOXはそのためにあると考えます。
今回もCLCについて、皆さんと一緒に考えてみました。
この42項目の濃淡の付け方次第で、皆さんの会社の内部統制は「企業価値の向上」に大きく寄与します。これはCLCだけに限らず、他のプロセス(FCRP、PLC、ITGC・ITAC)の統制項目や評価等のブラッシュアップを行うことで「企業価値の向上」に大きく寄与します。会社の成長に比例して内部統制体制も成長します。なぜなら、さきほど例で挙げましたように、例えばM&A等で連結子会社が増えればその分、親会社側での経営・事業管理体制が新しく・大きく・強固に成長しています。その成長に合わせて/同時に会社の内部統制も新しく・大きく・強固に成長します。この内部統制の成長が、会社の経営・事業管理体制の成長に先駆けて上回るのか、成長に合わせてなのか、それとも追随(前を行く者に従って後を追うこと)なのか。この内部統制の成長の選択によって会社の内部統制の「企業価値の向上」への寄与度合いが違いますので、この見極めが重要です。ぜひ皆さんの会社で「企業価値の向上を高めるための内部統制」の意識をもって十分にご検討いただけたら幸いです。
当社が提供するサービスとして
当社が提供する「内部統制・内部監査体制構築」サービスでは、
IPO準備中企業の内部統制体制の構築とその業務内容の確立をサポート支援いたします。
上場企業の内部統制体制の再構築、業務内容の改善をサポート支援いたします。
IPO準備中・上場企業の内部統制にかかる業務の業務委託受託先(外部)として業務遂行いたします。(*内部統制責任者として、社内に1名選任をお願いします。)
この機会に、ぜひ内部統制のあり方、必要性をご理解いただき、内部統制の体制構築/再構築をご検討ください。



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