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内部監査に向き合う Part.14 - 監査方法⑤ -

  • 執筆者の写真: 長嶋 邦英
    長嶋 邦英
  • 5月18日
  • 読了時間: 5分

 内部監査は会社・従業員にとってとても大切な働き・役割です。その働き・役割を遂行するためには、知識と経験と心構えが大切だと思います。それらをいったん振り返って整理し、さらに実践に役立つ戦略・戦術として活かすことを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

 今回は監査方法⑤です。







監査方法 -書面監査⑤-

 書面監査については「内部監査に向き合う Part.12 - 監査方法③ - 」と「Part.13 - 監査方法④ - 」で皆さんと一緒に考えていますが、今回は、最近の書面監査で私が気になっている点を、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。


 最近の書面監査で私が気になっている点とは、「何の目的でその書類を確認し、読み取ろうとしているのか?」を監査する側がしっかりと認識・理解しているのか?という点です。

 そもそもなぜ書面監査なのかといえば、その書類を見れば①何の書類なのか?②必要事項が漏れなく記載されているのか?③その書類は誰が作成し、確認し、承認しているのか?これらが確認できるからです。かなり以前のお話しになりますが、稟議はすべて書面(紙)で、その稟議目的の根拠資料は何十枚となろうともすべて書面で添付していました。ステープルやクリップで留めることのできる枚数なら良いのですが、何十枚となればファイルに綴じて提出していましたし、承認者にはそのファイルごと回覧され、承認印(印鑑)をもらっていたのです。これは膨大な時間がかかり、スピード感などという感覚はまったく無い、本当に面倒な時代でした。しかし、この紙の時代にもメリットはありました。それは稟議書を見れば、承認者の承認印・承認日付がすぐに確認できました。また承認印はその承認者本人しか持っていないので、偽造や改ざん等はとても難しいものでした。(※私はそのようなことを行ったことはありませんが。)現在ではその稟議もシステム上(ワークフロー機能)で行うことができるので、刻一刻と変化する社会状況に会社がスピーディーに対応することができる環境になっています。しかし、その反面でペーパーレスやスピードを重視するあまりに、稟議の記載(入力)項目の簡略化や稟議目的を説明するために必要な添付資料の省略又は簡略化が極端なかたちで進みました。これには良いこともありますが弊害もあります。例えば、後になって「結局何を決裁したのか?」が不明な稟議を見たこともしばしばあります。昨今はペーパーレス化、業務効率UPのための改善、これが進んで業務のDX化(Digital Transformation)と聞きますが、まずは会社として「何の記録を残さなければならないのか?」を十分検討し、明確な方針(ポリシー)を定めてからでなければ、業務改善や業務のDX化は難しいと思います。


 話を書面監査に戻します。

 会社の業務はほぼすべてPC、システムを利用して行われています。必要事項を入力することでそれらが蓄積されるとデータベースとなり、そのデータベースを利用してドキュメント化、リスト化、グラフ化等可視化して業務を行います。私たち内部監査は「書面監査」と言えばその可視化された書類を確認することとなりますが、万一データベースに誤りがあったり、必要事項が入力されていない、又は元々入力する項目が無いなど、そのような欠陥のあるデータベースを利用して可視化された書類は会社として価値の無いものです。書面監査を行う意味がありません。

 そうすると、もう内部監査の皆さんは「書面監査で見るべきものは何か?」すでにお気付きかと思います。



監査方法 -書面監査⑥-

 前回の記事「Part.13 - 監査方法④ - 」では「内部監査と被監査部門・監査対象業務の担当者とで共通の理解を持つためにも、まずはその内部監査を実施する前に事前のヒアリング(※監査方法の「ヒアリング」とは別に行います)・打合せを行うことをお勧めします」とご紹介しました。この事前ヒアリングでは、共通の理解を持つもことで内部監査を深く理解してもらい、監査テーマに沿ったかたちの資料提出を被監査部門・監査対象業務の担当者から積極的に行ってもらうためのものなのですが、並行して監査に必要な資料を被監査部門・監査対象業務の担当者側から積極的に提出してもらえるような状況を作り協力を得ることが大切です。

 例えば、業務の担当者間で大変重要な資料(スプレッドシートなど)を作成しているのは一般的なことです。チャットツール上のワークフロー機能を利用して担当者相互の確認作業を効率良く行なっていることもあります。そうなると私たち内部監査が書面監査として確認すべきものは可視化された書類たちだけでなく、その可視化された書類の元データであるデータベースや業務上のシステム(チャットツールを含む)の通信記録にも目を向けなければならなくなったと考える必要があると思います。


 可視化された書類を確認するだけでは、その業務が適正に行われているとアシュアランス(保証)することが難しい時代になりました。ぜひ皆さんには、可視化された書類以外に何を収集し、何をどのように確認しなければならないのかを、内部監査の計画時や監査手続を作成するときに繰り返し検討することをお勧めします。






当社が提供するサービスとして


当社が提供する「内部統制・内部監査体制構築」サービスでは、


  1. IPO準備中企業の内部統制体制の構築とその業務内容の確立をサポート支援いたします。

  2. 上場企業の内部統制体制の再構築、業務内容の改善をサポート支援いたします。

  3. IPO準備中・上場企業の内部統制にかかる業務の業務委託受託先(外部)として業務遂行いたします。(*内部統制責任者として、社内に1名選任をお願いします。)


 この機会に、ぜひ内部統制のあり方、必要性をご理解いただき、内部統制の体制構築/再構築をご検討ください。



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