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  • 執筆者の写真長嶋 邦英

IPO準備の内部統制 - 2 -

更新日:2023年3月15日

 前回は「IPOで、なぜ内部統制の構築が必要なのか?」をコンプライアンスの側面を中心にご紹介しました。

 今回は「どの程度の内部統制を構築すれば良いか?」をご紹介します。(*約5分程度でお読みいただけます。)


*先般の記事「IPOでの内部統制の大切さ - Part.01」で、IPO準備の時の内部統制の大切さをご紹介しました。今回はその延長線上のお話となります。


内部統制の目的

 内部統制の目的は「企業の事業・経営目標に対し、それを達成するためのルール整備を行うこと」です。「企業の事業・経営目標に対し」とありますので、既製品としての規程、マニュアル等をIPO準備企業に当てはめるだけの作業・・・ではありません!もちろん、いわゆる3点セット(業務フロー、業務記述、RCM)の書式を流用するのは問題ありませんが、内部統制の目的で問われているのは、その中身の記載内容です


 どのような内容にするか。これは経営者と業務執行部門、管理部門など、関係する部門とでよく相談・協議しながら構築していくべきだと考えます。競合企業のマネをしたり、事業規模・売上規模が同等くらいの企業をマネる・・・ということはしないでください。


 企業にはそれぞれ社風・カラーが、創業以来脈々と受け継がれていることと思います。これを大切にしつつ、ただしIPOするにあたっては変えるべき点は改善し、または全く違う業務の手法を取り入れて転換を行う・・・など、いろいろ意見を収集して検討し、構築していくことが必要です。もちろん時間を要しますが、これを通して、経営者がこれまで思い描いていた企業の成長よりさらに飛躍した成長を描けるかもしれません。「とても有意義な時間である」ことを覚えて推進してください。



誰が構築する?

 それでは内部統制を構築するメンバーは、誰にすべきでしょうか?

 一般的には、内部統制構築のプロジェクトチームを立ち上げ、リーダーをCFOに、そのメンバーには経理、内部監査、営業・業務管理、システム部門の各担当者が選ばれると思います。


 ところで、そもそもですが、なぜ前述のリーダーとメンバーが選ばれるか、その理由をご存知でしょうか?・・・おそらく業務フロー、業務記述を作成する際に、これまでの業務経験や知識が集約しやすいからだと推察します。私としては、この理由からこれらのメンバーが選ばれてしまうと、IPO準備の業務量の配分の観点で、かなり偏りがでてしまい、特定のメンバーに業務の負荷がかかってしまう懸念があると考えます。特に負荷が大きいメンバーは、経理メンバーです。理由は、最終的な売上高、仕入等原価を把握し、稟議承認(ワークフロー)の経緯等の情報を間接的に把握しやすい部門から選ばれているメンバーだからです。しかし、経理メンバーはこのIPO準備の業務に時間を配分する余力があるとは考えにくいです。その反面、その他のメンバーは、IPO準備に携わることができる部分が限定的なのです。社員数が多く、人員的に余裕のある企業であればこのメンバー構成でもよいのですが、もし可能であれば、IPO準備の前段階、メンバー等を決める前に、一度だけで構いませんので、IPO準備のコンサルティングにご相談することをお勧めします。必要な準備を、必要な期間、必要なメンバーで推進するためのマッピングができます。



サイズに合った内部統制の構築を

 ここで言う「サイズに合った」の「サイズ」とは、2つの意味を持ちます。

  1. その企業(及びその業界)に求められているコンプライアンス、ガバナンス。

  2. その企業の事業規模(売上高、社員数など)、経営目標。

この2つのサイズを正しく見極め、その内容が企業に当てはめるとどのような形になるのか?を想像しながら、内部統制を構築していくことをお勧めします。


 まずは1について、企業が事業を展開するうえで、コンプライアンス、ガバナンスが求められています。例えば、事業展開するために必要な営業許可、認可等があります。また業種によっては業界団体があり、そこでは業界団体が作成するコード、ガイドラインなどを遵守することが求められます。IPO準備においては、コンプライアンスの側面として法令遵守のほかに業界団体のコード、ガイドライン等を踏まえたルール整備が求められ、ガバナンスの側面では、これら法令、業界のコード、ガイドラインを遵守するための責任者配置や統治体制等の統制整備が求められますので、事業規模が他の競合企業より比較的小さめだから、と言っても、相応のルール/体制整備が求められます。


 そして2について、「事業規模が大きいから、内部統制に携わる人員数は多くなくてはならない」とか、反対に「事業規模が小さいから、人員数は少なくて構わない」と言うわけではありません。内部統制に携わる人員が多い・・・に越したことはないのですが、コンプライアンス、ガバナンスの観点で、求められているサイズ以上のものをいきなり合わせるのは、企業にとって、働く社員にとって、過度の負担を強いることになります。


 経営者が、企業にとってどの程度のサイズが合っているかを考えるとき、または、これを考える前に、IPO準備のコンサルティングにご相談することをお勧めします。洋服を仕立てる際には、ご自分で採寸するのはなかなか難しいですね。やはり仕立て屋さんに採寸してもらい、好みに合った生地を選んで裁縫してもらう。また仮縫いの段階で微調整が入りつつも、立派な洋服に仕上がっていく。IPO準備もこれと同様です。


 今回は「どの程度の内部統制を構築すれば良いか?」をご紹介しました。

 次回は内部統制の構築の際に「押さえるべきポイント」についてご紹介します。



当社が提供するサービスとして


当社が提供する「内部統制・内部監査体制構築」サービスでは、


  1. IPO準備中企業の内部統制体制の構築とその業務内容の確立をサポート支援いたします。

  2. 上場企業の内部統制体制の再構築、業務内容の改善をサポート支援いたします。

  3. IPO準備中・上場企業の内部統制にかかる業務の業務委託受託先(外部)として業務遂行いたします。(*内部統制責任者として、社内に1名選任をお願いします。)



 この機会に、ぜひ内部統制のあり方、必要性をご理解いただき、内部統制の体制構築/再構築をご検討ください。


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