内部監査に向き合う Part.13 - 監査方法④ -
- 長嶋 邦英
- 6 日前
- 読了時間: 5分
内部監査は会社・従業員にとってとても大切な働き・役割です。その働き・役割を遂行するためには、知識と経験と心構えが大切だと思います。それらをいったん振り返って整理し、さらに実践に役立つ戦略・戦術として活かすことを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
今回は監査方法④です。

監査方法 -書面監査③-
「内部監査に向き合う Part.10 - 監査方法① - 」、「Part.11 - 監査方法② - 」、「Part.12 - 監査方法③ - 」としばらく監査方法について皆さんと一緒に考えてみました。監査方法は奥深いものですので、もうしばらくお付き合いください。
書面監査でもうひとつ気になる点があります。それは被監査部門・監査対象業務の担当者から提出してもらう資料(証憑)についてです。例えば、何を、どこまでの範囲で提出してもらうか?などです。内部統制では業務記述、フローチャート(業務フロー)に " この資料 " と明記し、整備/運用評価の際にはその資料を提出してもらうこととなりますが、内部監査では監査するテーマ、観点、切り口等によって資料がいろいろ変わってくると思います。ただし、いろいろ変わるからと言ってその業務等に関するすべての資料を提出してもらうというわけにはいきません。なぜなら、その業務等に関するすべての資料を提出してもらうとなれば、その資料は膨大となり被監査部門・監査対象業務の担当者がそれらを揃えるための業務量(時間)は大変なものとなりますし、そもそもそれらの資料を受領する私たちの側でもそれらの資料に目を通して内容を把握し、十分に理解する業務量(時間)を割くことが難しいでしょう。不正行為等不祥事に関する調査ならまだしも、通常の内部監査でそのような膨大な業務量・時間が掛かる/時間を掛けるのは現実的ではありません。加えてその内部監査の監査テーマ自体がぼやけてしまうことになりますので、ほぼお勧めできません。的確で効率的かつ有効な内部監査を実施するためのは、①まず提出してもらう資料を指定するか、②その内部監査のテーマに合わせてある程度提出してもらう資料の範囲を指定することをお勧めします。
私が以前に行っていた方法は②です。具体的な方法についての説明は割愛しますが(後日、別の記事でご紹介します)、なぜこの②その内部監査のテーマに合わせてある程度提出してもらう資料の範囲を指定するのかというと、被監査部門・監査対象業務の担当者に対してその内部監査のテーマと意図を十分に理解してもらい、その内部監査に対する対応の準備を十分に行ってもらいたいためです。被監査部門・監査対象業務の担当者は、内部監査が提出してもらう資料の範囲を指定することによって何が監査対象となっているのか。何が知りたい/聞きたいのか等を理解することができます。会社のために実りの多い内部監査を実施するためにも、内部監査と被監査部門・監査対象業務の担当者とで共通の理解を持つことが最も大切ではないかと考えます。
監査方法 -書面監査④-
内部監査と被監査部門・監査対象業務の担当者とで共通の理解を持つためにも、まずはその内部監査を実施する前に事前のヒアリング(※監査方法の「ヒアリング」とは別に行います)・打合せを行うことをお勧めします。内部監査を実施する前に、まずは「内部監査実施通知(書)」を被監査部門・監査対象業務の担当者に送りますが、ここには監査実施日や監査内容、提出してもらう資料等を記載します。この記載内容について内部監査と被監査部門・監査対象業務の担当者は事前の打合せを実施することとなりますが、その際に共通の理解を持つこと、ある程度提出してもらう資料の範囲を指定する打合せを行うことをお勧めします。共通の理解を持つもことで内部監査を深く理解してもらい、監査テーマに沿ったかたちの資料提出を被監査部門・監査対象業務の担当者から積極的に行ってもらうためです。
各業務は日々業務に邁進する傍らでPDCAを行うことで業務改善しているはずです。以前見た資料の内容・フォーマットが変わることもありますし、その資料が別の資料に変わっていることもあります。内部監査はその業務改善をすべて把握しているわけではありませんし、日常的モニタリングを行っていたとしてもそのような細かい部分まで把握することは難しいでしょう。それら業務改善状況や細かい部分をCatch upするためにも、事前のヒアリング・打合せを行うことはとても重要です。
事前のヒアリング・打合せでは、その内部監査のテーマと意図を十分に理解してもらい、監査に必要な資料を被監査部門・監査対象業務の担当者側から積極的に提出してもらえるような状況を作ることが大切です。それは被監査部門・監査対象業務の担当者側から積極的な協力を得るためです。もしかすると、被監査部門・監査対象業務の担当者側で大変重要な資料を作成しているかもしれません。そのような資料を、内部監査実施期間中であれば被監査部門・監査対象業務の担当者側から後からでも提出しやすい状況にすることは、とても有効です。内部監査は「組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的」(一般社団法人日本内部監査協会・内部監査基準「第1章 内部監査の本質」より引用)ですので、このことを被監査部門・監査対象業務の担当者に十分理解してもらい、実り多い内部監査になるよう、内部監査と被監査部門・監査対象業務の担当者が共に協力する状況を作ることをお勧めします。
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