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内部監査に向き合う Part.11 - 監査方法② -

  • 執筆者の写真: 長嶋 邦英
    長嶋 邦英
  • 4月27日
  • 読了時間: 5分

 内部監査は会社・従業員にとってとても大切な働き・役割です。その働き・役割を遂行するためには、知識と経験と心構えが大切だと思います。それらをいったん振り返って整理し、さらに実践に役立つ戦略・戦術として活かすことを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

 今回は監査方法②です。







監査方法への向き合い方

 前回の記事「内部監査に向き合う Part.10 - 監査方法① - 」では監査方法を俯瞰してその全体像を皆さんと一緒に考えてみました。今回はその監査方法を具体的に皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

 監査方法とは①被監査部門への質問(ヒアリング)、②関係書類の監査(書面監査)、③実地監査(実査)の3つです。これらに関する説明は内部監査に関する書籍に詳しく書いてありますのでここでは割愛し、内部監査の業務に携わる側からこれらの監査方法への向き合い方を考えてみます。


 なぜここで監査方法への向き合い方を考えてみるかといいますと、監査方法はあくまで方法・手段ではあるのですが、①その監査方法を選択するための目的(なぜその方法なのか?)、②その監査方法の使い方(その方法をどのように使うか?)、③その監査方法から得る結果の想定(その方法で何を得るのか?)、監査手続を作成するにあたってはこの3点を十分に検討したうえで選択するものだと考えるからです。



監査方法 - ヒアリング① -

 ヒアリングはみなさんもご存知のとおり、監査テーマに基づいた質問、被監査部門・業務に関する状況を把握するための方法で、被監査部門(監査対象となる部門又は監査対象となる業務を所管している部門)ほか関連部門等に対して行うものです。

 ここで、内部監査の皆さんは普段行っているヒアリングの場面を思い出してください。そのヒアリングは " 本当にヒアリング " していますか?よくあるケースで、ヒアリング中にその部門・業務の問題点・改善点等が明らかになることがあるのですが、そのときにその問題点・改善点等の解決策を検討する時間になってしまうことがあります。また、監査を計画している時点ですでに問題点・改善点等が明らかになっているうえで監査を実施するケース(例:不正行為等不祥事発生後の内部監査、など)では、その問題点・改善点等の発生源(例:不正行為をした人物)の特定、問題点・改善点等に対する非難の場になってしまうことがあります。


 内部監査は「組織体の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的」(一般社団法人日本内部監査協会・内部監査基準「第1章 内部監査の本質」より引用)としています。ですから内部監査はその目的のために調査を行いますが、捜査(犯人を発見・確保し、証拠を収集すること/デジタル大辞泉・小学館より引用)はしません。もちろん裁判官ではありませんので、判定もしません。内部監査におけるヒアリングは、会社の代表取締役社長・経営層・部門責任者の「経営目標の効果的な達成に役立つ」情報収集するための監査方法です。これを前提にヒアリングに向き合ってみると、さきほどの①その監査方法を選択するための目的(なぜその方法なのか?)、②その監査方法の使い方(その方法をどのように使うか?)、③その監査方法から得る結果の想定(その方法で何を得るのか?)が皆さんにも想像できると思います。



監査方法 - ヒアリング② -

 ヒアリングへの向き合い方のうち、③その監査方法から得る結果の想定(その方法で何を得るのか?)については少々誤解を招きやすいかもしれませんので説明を加えます。


 前出のとおり、内部監査は捜査ではなく調査(物事の実態・動向などを明確にするために調べること/デジタル大辞泉・小学館より引用)を行います。その調査で何を明確にしたいのかによって、ヒアリングの質問事項が変わってきます。例えば、監査テーマに基づいた質問、被監査部門・業務に関する状況を把握する目的として、その被監査部門・業務の全体像を把握したいのか、個別・特定の詳細を把握したいのか等によって質問事項が変わることは皆さんのご理解のとおりです。ただし、今回皆さんと考えるポイントは、監査手続を作成する際には向き合い方の①目的と③結果の想定を念頭に置いたうえで質問事項を考える必要があるという点です。③結果の想定を入れている理由は、そのヒアリングから得るであろう被監査部門・業務の全体像/個別・特定の詳細等をある程度想定しておかないと、その監査で「本当に知りたい情報(被監査部門・業務の全体像/個別・特定の詳細等)」をヒアリング対象者から聞き出すことができないからです。そのように考えると、本当に知りたい情報を得るためには事前に書面監査等によって被監査部門・業務の全体像/個別・特定の詳細等をある程度把握し、そのうえでヒアリングから得る結果を想定(③結果の想定)=してヒアリングを実施することをお勧めします。ただし、あくまで調査ですから、ヒアリングを裏付け確認を行うための方法として使用することや、想定した結論を裏付けるような決め打ち的な質問、想定した結論に誘導するような質問は避けましょう。ヒアリング対象者が困惑するようなことは、芳しくありませんし、そもそもその内部監査自体を誤った方向(結論)に向かわせることになりかねません。



 今回の記事からしばらくの間、監査方法を具体的に皆さんと一緒に考えてみていきますが、いくつか新しい発見や今まで忘れていたことを思い出す機会となればよいで考えております。じつは、私も一連の記事を作成しているうちに新しい発見や今まで忘れていたことを思い出しています。監査方法は奥深いです。ぜひ参考にしていただけたら幸いです。





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