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内部監査に向き合う Part.07 - 監査テーマ③ -

  • 執筆者の写真: 長嶋 邦英
    長嶋 邦英
  • 3月30日
  • 読了時間: 6分

 内部監査は会社・従業員にとってとても大切な働き・役割です。その働き・役割を遂行するためには、知識と経験と心構えが大切だと思います。それらをいったん振り返って整理し、さらに実践に役立つ戦略・戦術として活かすことを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

 今回は監査テーマ③です。







監査テーマに必要なこと

 前々回の記事「内部監査に向き合う Part.05 - 監査テーマ① - 」では「監査テーマのネタ集め・ネタ作り」では、いざというときに監査テーマをいくつも挙げることができように監査テーマのネタ作り・ネタ集め+「日頃の気づき」をしていることを、また前回の記事「Part.06 - 監査テーマ② -」ではその「日頃の気づき」によって監査テーマに差が出ることをご紹介しました。

 気づきはほんの小さな・少しのことなのですが、この気づきが有るのと無いのとでは、最後に出てくる監査報告とその後のフォローアップ監査の結果に大きな差が出ます。これは私が実感していることなので言葉で説明することが難しいのですが、例を挙げますと東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)で同じような不祥事事案が繰り返される上場会社があったり、または別の上場会社であっても他社と同様な不祥事事案が発生しているのを目にすることがあります。これは、不祥事が繰り返される上場会社では再発防止の改善が行われていないのと同時に内部監査も再発の予兆に気づくことができるようなモニタリングが行われていないと思いますし、他社と同じような不祥事が自社でも発生する会社では、他社事例について日常的に学びその学びの蓄積を自社に置き換えて不祥事の予兆に気づくことを行なっていなかったのではないかと思います。TDnetで閲覧できる他社の不祥事事案に関する報告書は、とても貴重な学びの材料ですし自社の監査テーマを検討する際にも参考となる資料となります。内部監査の皆さんには、ぜひ日頃からTDnetの閲覧をお勧めします。


 内部監査は何をするのか?一般社団法人日本内部監査協会「内部監査基準」に次のように示しています。

内部監査は、ガバナンス・プロセス、リスク・マネジメントおよびコントロールの妥当性と有効性とを評価し、改善に貢献する。経営環境の変化に迅速に適応するように、必要に応じて、組織体の発展にとって最も有効な改善策を助言・勧告するとともに、その実現を支援する。

(出典:内部監査基準1ページ「1. 内部監査の必要」より)


 これは内部監査の目的でもあり、内部監査がなぜ必要なのか?への回答でもあると思います。これの見方を変えると、内部監査が監査すべきテーマの必要な要素とも理解できると考えます。つまり、内部監査の監査テーマに必要なことは、次のようになります。


  1. ①ガバナンス・プロセス、②リスク・マネジメント、③リスク・コントロール

    これらの妥当性と有効性を評価することを目的とした監査テーマ

  2. 会社の発展(企業価値の向上等)にとって最も有効な改善策を助言・勧告することを目的とした監査テーマ


 監査テーマを挙げようと考えると、リスク・マネジメント全般やリスク・コントロールのみに注目しがちですが、それだけについて内部監査を行う必要はありませんし、もっと視野を広げて会社の発展に大きく貢献できる監査を行うことをお勧めします。そのためにも、日頃からのコミュニケーションも必要ですが、定期的(月次等)にヒアリング(※監査目的ではない)を行うこともお勧めです。これによって各部門・部署ごとに考えている業務の改善策や部門・部署横断の改善策が見つけられるかもしれません。特に部門・部署横断の改善策は個々の部門・部署から言い出しづらいものです。その後押し(支援)をすることも内部監査の皆さんの役目ではないでしょうか。



その監査テーマは単発?継続的に実施する?

 監査テーマを考える題材としては瑣末なことなのですが、実際に内部監査を実施すると後に「このテーマは今後も継続的(毎期等)に監査する必要がある」と思いつくことがあるでしょう。その逆に、継続的に監査しようと思っていたが実際に監査してみたら継続的な監査は不要だと考えた、ということもあるかもしれません。特にリスク・コントロールに関する監査テーマは、当初は毎期監査することを目的としていても実際各部門・部署での業務はしっかり遂行されて、毎期ではなく隔年〜数年おきの監査でも大丈夫ということもあります。リスク関連を監査テーマに挙げるときは、会社にとってのリスクは無くなることがありませんので継続的に監査することを考える方が良いかと思いますが、その頻度については十分に時間をかけて検討し、必要に応じて社内から意見を集めることもお勧めします。

 一方、会社の発展(企業価値の向上等)にとって最も有効な改善策を助言・勧告することを目的とした監査テーマはほとんどのケースで単発になると思いますが、このテーマの場合は監査後の改善に向けた進捗や改善が完了するまでを見届ける(フォローアップ監査を行う)必要がありますので、単発といえども長期間に渡って内部監査が関わる必要があります。監査報告を仕上げたら終わりではないのです。こうなると監査テーマを考えるときには、監査後の改善に向けた進捗や改善が完了するまでを見届けるまでの時間・日程のことも考える必要があり、これを忘れると年間の内部監査計画の進捗に大きな影響がありますので、このことに十分注意して監査テーマを検討することをお勧めします。



 3回に渡って監査テーマにについて考えてみました。監査テーマの考え方や検討の際に注意することを考えてみますと、いろいろ気づかされます。監査テーマは内部監査にとってとても大切なものです。監査テーマを検討する際にはぜひ時間的余裕をもったうえで、幅広く意見等を取り寄せながら検討することをお勧めします。





当社が提供するサービスとして


当社が提供する「内部統制・内部監査体制構築」サービスでは、


  1. IPO準備中企業の内部統制体制の構築とその業務内容の確立をサポート支援いたします。

  2. 上場企業の内部統制体制の再構築、業務内容の改善をサポート支援いたします。

  3. IPO準備中・上場企業の内部統制にかかる業務の業務委託受託先(外部)として業務遂行いたします。(*内部統制責任者として、社内に1名選任をお願いします。)


 この機会に、ぜひ内部統制のあり方、必要性をご理解いただき、内部統制の体制構築/再構築をご検討ください。



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