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内部監査に向き合う Part.05 - 監査テーマ① -

  • 執筆者の写真: 長嶋 邦英
    長嶋 邦英
  • 3月16日
  • 読了時間: 6分

 内部監査は会社・従業員にとってとても大切な働き・役割です。その働き・役割を遂行するためには、知識と経験と心構えが大切だと思います。それらをいったん振り返って整理し、さらに実践に役立つ戦略・戦術として活かすことを皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

 今回は監査テーマ①です。







監査テーマの考え方

 皆さんの会社では監査テーマを挙げる際に、どのように行なっているでしょうか。これは以前の記事「内部監査に向き合う Part.03 - 内部監査計画策定① - 」、同「Part.04 - 内部監査計画策定② - 」で若干触れていますが、毎期の内部監査計画策定の際に多くの時間を費やすなどご苦労があったことと思います。

 監査テーマは挙げようと思えばいくらでも挙げられますが、時間・予算・マンパワー等の制約のために手掛けられないまま積み残しとなっているものがあるかもしれません。またIPO準備期の会社では、上場審査向けの「数をこなす」ためのテーマを挙げる、ということもあるかもしれません。どのようなかたちであれ、内部監査を実施することは会社にとって有意義なものであることが必要です。私は「内部監査・内部統制は、会社の企業価値の向上のためにある」と考えておりますので、せっかく内部監査を実施するのであれば、内部監査の皆さんだけでなく、会社、従業員等にとっても価値を見出してもらうきっかけになるものにしたいと考えています。そう考えると監査テーマも企業価値の向上を目的とするようなテーマを挙げられたら、とても素晴らしいです。これは内部統制の評価ではできないことです。内部統制・J-SOXは①業務の有効性及び効率性、②報告の信頼性、③事業活動に関わる法令等の遵守、④資産の保全の4つの目的、つまり「会社は正しい行動をしているのか?」を確認することを目的としているので、直接的にこれらが企業価値の向上に結びつく感じではないようです(間接的には結びつきますが)。そうなると内部監査の皆さんが皆さんの会社の企業価値の向上に貢献できる場面は、内部監査の業務にあると思います。これらを踏まえて監査テーマを考えると、いままで「いくらでも上げられる」と考えていた監査テーマもだいぶ数が絞られ、中身の濃いものを挙げることができると思います。


 内部監査の監査テーマを考えるときには、企業価値の向上を目的とする/企業価値の向上に貢献できる監査テーマを挙げることをお勧めします。



監査テーマのネタ集め・ネタ作り

 監査テーマのネタ集め・ネタ作りについては、内部監査の皆さんそれぞれがいろいろな手段、方法を持っていることと思います。逆に新任の内部監査の皆さんやこれから内部監査を目指そうとお考えの皆さんは「いったいどうしたら良いの?」と不安かもしれません。ぜひ長年内部監査に携わり熟練した内部監査の皆さんは、今お持ちのいろいろな手段・方法を、新任の内部監査の皆さんやこれから内部監査を目指そうとお考えの皆さんに伝授することをお勧めします。「自分のスキル」として伝授することを惜しがるのは、とても勿体無いことです。そこで私からもひとつだけ伝授します。それは、熟練した内部監査の皆さんは日頃から「監査テーマのネタ集め・ネタ作り」をしているということです。

 私の場合、日頃から具体的な監査テーマをいくつも持っているわけではありませんし、すぐに思いつくような能力を持っているわけではありません。しかし、いざというときに監査テーマをいくつも挙げることができように、監査テーマのネタ作り・ネタ集め+「日頃の気付き」をしていました。(※「日頃の気付き」は後日お話しします。) なぜ具体的な監査テーマを持っていないかというと、監査テーマは会社の状況、社会状況、その期の事業計画やその進捗状況、会社の年間カレンダーなど、様々な状況で監査の切り口や監査テーマ自体等が大きく変化するからです。監査テーマは新鮮な野菜と一緒で「鮮度」が重要です。例えば、社会的に情報セキュリティのリスクについて話題になっているときに、監査テーマを個人情報管理のリスクのみに絞ったのでは的がズレているかもしれません。また、会社が新規事業をはじめたり某会社をM&Aするなどして事業拡大しているときはそこに監査テーマを絞った方が良いのに、会社全体の規程遵守状況等コンプライアンス・ガバナンスにまで広げてしまうのは、あまり得策とは言えません。ですから監査テーマはその会社の様々な状況によって大きく変わってしまいます。まずは、この点を注意しながら監査テーマのネタ作りとネタ集めを行う必要があります。

 監査テーマのネタ集めは皆さんもすでにお分かりかと思いますが、ネタになるような情報を収集することです。これは新聞・SNSなどで話題となっている情報を収集して監査テーマになり得るモノを検討していくことです。少し難しいのはネタ作りです。ネタ作りといっても、不祥事等の要因を各所にバラ撒いたり唆(そそのか)したりすることではありません。これは前項「監査テーマの考え方」で触れましたように「会社の企業価値の向上に貢献できる」監査テーマで内部監査を実施することができるよう、社内の部門・部署、部門長、業務担当者等へ協力を要請して然るべきときに実施する準備を整えることです。これは新任の内部監査の皆さんにはとても難しいでしょう。それは熟練した内部監査の皆さんにできる技(スキル)です。さきほど「熟練した内部監査の皆さんのスキルを伝授する」とお話ししたのは、このスキルです。しかしこのスキルは、熟練した内部監査の皆さんが自ら磨いたものとは言い切れません。なぜなら、社内の部門・部署、部門長、業務担当者等からの協力は、社内の皆さん側の積極的な協力姿勢や誠意、好意等によるものが大きいからです。熟練した内部監査の皆さんの努力や研鑽によるものだけではないのです。これを熟練した内部監査の皆さんが新任の内部監査の皆さんに伝授しないのは勿体無いですし、会社の損失です。ですから、どんどん伝授しましょう。新任の内部監査の皆さんもこの部分については貪欲に伝授してもらうことをお勧めします。



 今回は監査テーマそのものというよりは、監査テーマを挙げる前の段階のお話しとなりましたが、次回以降は監査テーマの挙げ方や監査テーマに必要な要素等について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。






当社が提供するサービスとして


当社が提供する「内部統制・内部監査体制構築」サービスでは、


  1. IPO準備中企業の内部統制体制の構築とその業務内容の確立をサポート支援いたします。

  2. 上場企業の内部統制体制の再構築、業務内容の改善をサポート支援いたします。

  3. IPO準備中・上場企業の内部統制にかかる業務の業務委託受託先(外部)として業務遂行いたします。(*内部統制責任者として、社内に1名選任をお願いします。)


 この機会に、ぜひ内部統制のあり方、必要性をご理解いただき、内部統制の体制構築/再構築をご検討ください。



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