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  • 執筆者の写真長嶋 邦英

企業法務の在り方 Part.06 - 規程類管理 -

 企業法務の業務範囲はとても広いです。専門性の高い業務や、幅広い知識と深めの経験値を求められる業務など様々です。そのような状況の中で、企業法務の皆さんは会社、役員、部門・部署、従業員の方々からの要請・依頼に十分に応えられるかどうか。いろいろな角度を通して、皆さんの会社それぞれの企業法務の在り方を確認してみましょう。






企業法務には会計・経理の知識が必要②

 これまで「企業法務の在り方」の各記事で、法務の皆さんにはリスク管理能力や会計・経理の知識を伸ばしていただくことが必要だとご紹介しました。これは法務の皆さんが基本的な法知識・経験等を持っていることが前提で、今後法務という職種がいままで以上に会社から必要とされるための、必要なアイテムとしてご紹介しました。


 法務の皆さんが必要なのは、基本的な法知識・経験だけではありません。これは以前の記事「企業法務の在り方 Part.05 - 会計・経理の知識を持つ法務が会社を助ける -」でご紹介したとおり、法務の皆さんには会計・経理の知識も必要であり、その会社の業種・業界によってはこれら以外にも幅広く、豊富な知識を持つ必要があります。法務の皆さんの中には、もうすでに必要に迫られている方もいらっしゃるのではないでしょうか。


 「企業法務の在り方 Part.05」の記事ではその必要に迫られる一例として契約書対応を挙げました。もう一つ例を挙げますと、規程類の管理です。規程類の管理を所管する部門は、皆さんの会社で違うかもしれませんが、法務部門は規程類の管理を所管する部門であるか又は規程の制定・改定の際に最終チェックを行う部門になっているかと思います。その理由として、それらの規程が法令及び業界ルールを遵守しているかどうかの確認や規程類独特の言い回し等の調製が必要になるからです。また、規程の制定・改定が必要になるタイミングとしては、法改正があったときや会社が大きく成長する段階で行うことが多いかと思います。そうなると、少なくとも法令の知識と経験を持つ法務部門が規程類の管理を所管する部門であるか又は規程の制定・改定の際に最終チェックを行う部門となるでしょう。

 ここで、会社が大きく成長する段階で特に気をつけなければならないのが会計と経理の業務に関連する「会計基準」です。法務としては、規程類の管理を担当する際は、法令と同様に会計基準についても把握していただきたいところです。

 具体的には、次のようになります。



成長期の会社は規程の管理が重要

 会社が大きく成長する段階で特に気をつけなければならないポイントとして、例えば事業計画に人員増員を計画しているのであれば、制定又は改定する必要のある規程類としては就業規則、賃金規程、従業員が50名以上であれば安全衛生管理規程、経理規程(勘定科目細則)、予算管理規程、原価管理規程などが考えられます。これらは人員増員に伴って直接又は間接的に影響する規程類です。その影響度については、経理業務を長く経験されている皆さんはよくご存じだと思います。なぜなら、人員増員によって少なくとも経理業務マニュアルの見直しが必要だからです。そこで経理業務マニュアルが見直され改定の必要が生じる場合は、その業務マニュアルだけでなく、その元となる経理規程も改定する必要があるかどうかを確認する必要があります。また具体的な経理処理方法になりますが、人員増員することで労務費の原価/販管費計上も気になるところです。ここは将来的にIPOをお考えの会社・経営層の皆さんは早めの時期に確認することをお勧めします。なぜなら、ご存じのとおりIPOでは2期分の決算・計算書類、財務諸表が必要となりますので、その対象となる期の途中で経理処理の計算方法や収益認識基準等を変更することは、あまり芳しいものではありません。このあたりは、IPO準備前の監査法人によるショートレビューによって指摘されることで発覚することも多いと思いますので、数年前から完璧な会計・経理処理は難しいと思いますがある程度ポイントを押さえたうえで経理業務の体制を構築し、それに伴って経理関係の規程類の整備(制定、改定)をお勧めします。


 経理関係の規程類の制定・改定に法務部門が携わることは、はじめのうちは難しいかもしれません。しかし、そもそも規程類がなぜ会社に必要なのかを考えていただけたら、規程類全体を法務部門が管理することが効率的で合理的であることがよくわかるのではないでしょうか。

 規程類はそれぞれが単独で成立しているわけではなく、実務が繋がっているのと同様に規程類も繋がっています。繋がっているということは、規程類全体を総体的かつ体系的に管理しなければならないものなので、規程類の一部分のみを法務部門が担当することは、非効率的であるだけでなく非合理的です。そのためにも法務部門が規程類全体を管理することをお勧めしています。その際には、皆さんの会社で顧問契約している公認会計士事務所の先生方と連携する、レクチャーを受ける等をすることをお勧めします。特にスタートアップ企業や成長期の会社と顧問契約されている公認会計士事務所の先生方は、上で挙げました例について経験豊富な先生もいらっしゃると思いますので、まずはご相談するのが最良です。



従業員の要望に応えられる企業法務になる

 法務の皆さんにはリスク管理能力や会計・経理の知識を伸ばしていただくことが必要だとご紹介しましたが、これらは契約書対応や規程類の管理においても必要ですし、もちろん日頃の法務相談においても必要となります。なぜなら、法務に相談してくる従業員の皆さんは、どのような回答が欲しいのかを明確にわかっている皆さんだけではないかもしれません。また、相談者も気付いていないリスクがあるかもしれません。法務に相談してくる従業員の皆さんは、回答も欲しいですが気づきや指摘をしてほしいのです。法務に求められるもの(要望)は、幅広く深いものなのです。そして今回ご紹介したように、法務の皆さん自らが積極的に業務の幅を広げていく(*皆さんの会社の業務分掌に抵触しない程度に)必要があると思います。


 どこまで業務の幅を広げていくのか。どこまで従業員の皆さんの要望や期待に応えられる法務になるのか。また、法務の皆さんにとって知る・学ぶ必要のある知識がどこまで必要なのか。それは皆さんの会社の事業内容、業種、事業・サービス展開等によって大きく異なります。それに、法務の皆さんが今後どのような法務職の経験、進んでいきたい方向性、なりたい自分等によっても大きく異なります。ただし、共通して言えることは「知る・学ぶ」ことは理論武装であり手段です。そのような手段のために専門性を極めるまでの必要はありません。バランス良くできるだけ幅広く知る・学ぶ・経験することが必要だと考えます。。







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